
タケダさんが某バイクショップから中古のミニトレを買ってきたのは、オレが大学1年の秋だった。
入学間もなく入部した二輪部の副部長だったタケダさんは、カワリモノの多い単車乗りの中にあって、ことさら異彩を放つ存在だった。・・・過去形にして良いのだろうか・・・
週に1度、昼休みにミーティングがあり、メンバーの気分とお天気次第でその後は走りに出かけるパターン、午後の授業は言わずもがな、とスチャラカな部員の我々だった、そんなある日:「ゲタ代わりにミニトレを買ったんだよ、くっくっく」
「あ〜、懐かしいな、オレも少し乗ったコトありますよ」
「色がまたサイコーなんだけどさ、何色だと思う?」
「タケダさんの好みなら、マリンブルーとかですか?」
「んん、パープルメタ、それもラメ入り」
「げげ、ミニトレの族車かよ」
「そう思うだろ、けどね、無茶苦茶キレイに塗ってある、プロの仕事だぜ」
「いっぺん見せてよ、タケダさん」
「ん、いいよ、ついでに日の丸のステッカーも貼ってあるけどね、くっくっく」
「うひゃー」早速見せてもらいに行くと確かに塗り方が巧い。実はこちらもゲタが欲しかったので:
「タケダさん、コレいくらで買ったの?」
「ん、いくらだと思う?」
「う〜ん(まだ2,000キロしか走ってないし、5万円位かな?)・・・
こんな色だもんねえ、いいトコ2万円だね」
「2万で買えるかよ、3万だ、安い買い物だと思わんか?」
「じゃあ、オレが27,000円で買うよ、1割引ね」
「バカヤロウ」結局その値段でオレのモノになり、取り敢えずステッカーだけは速攻で剥がした。